目次
受信動作
ここでは「受信動作」機能が有用になりうる状況を説明します。
演出の作成
Ethernet 出力する照明卓などから灯体を制御して演出を作成します。
照明卓と灯体は直結も可能ですが、ここでは一般的なスイッチングハブを介すことにします。
![](cm_design.png)
演出の記録
出来上がった演出を DIAheart に記録します。
![](cm_rec.png)
このとき、照明卓からの送信を「ブロードキャスト」(もしくは sACN のマルチキャスト)で行っている場合は、灯体と DIAheart の両方に同じデータが届くので、そのまま記録できます。
この場合、「受信動作」の特殊な動作は不要で、通常の「当機宛」で使用します。
![](cm_rec_bc.png)
一方、照明卓からの送信を「ユニキャスト」で行っている場合は、DIAheart にはデータが届きません。
このような接続状態で記録するには、照明卓で送信先 IP アドレスをブロードキャストあるいは DIAheart の IP アドレスに変更する必要があります。
灯体の数が多い場合(ユニバース数、IP アドレス数が多い場合)、設定変更に手間がかかります。
また、DIAheart 宛にユニキャストする場合、灯体へは送信されず、記録中は演出状態を確認できません。
![](cm_rec_uc.png)
フロー制御
DIAheart の Ethernet リンクは 100 Mbps です。
送信元(照明卓など)とハブの間がそれよりも速い(例えば 1G bps)場合、送信元とハブの間には「フロー制御」が必要になります。
さもないと、DIAheart に送信しきれないデータがハブによって破棄され、すべてのデータを記録することができない可能性があります。
使用する機器(とくに送信元)の仕様を確認して下さい。
![](cm_rec_fc.png)
下図は macOS の Ethernet 設定画面の例です。
「フロー制御」の有無があります。
![](cm_fcsetnmac.png)
ポート ミラーリング機能の使用
スイッチングハブ製品の中には、「ポート ミラーリング」機能を利用できるものがあります。
これは、スイッチングハブを通る通信データと同じ内容を、特定のポート(ミラーポート)から送信する機能です。
おもにネットワーク動作の解析などに使用されます。
![](cm_rec_mir.png)
このような接続状態でも、通常のネットワーク機器としての DIAheart(「受信動作」が「当機宛」)は、他の機器宛のデータは使用しません。
ここで DIAheart の「受信動作」を「すべて」にすると、他の機器宛のデータも記録するようになります。
リピーター ハブの使用
「リピーター ハブ」は、すべてのポートで同じ内容が送受信されるものです。
(現在ではあまり一般的な装置ではないようですが、「ポート ミラーリング」機能を使用する際の複雑な設定が不要です)
![](cm_rec_rep.png)
場合によっては、そもそもスイッチング ハブの代わりにリピーター ハブを使用することも可能かもしれません。
![](cm_rec_rep2.png)
受信動作「すべて」使用時の注意
- 同じユニバースを異なる送信先 IP アドレスで区別している場合、それらは DIAheart が記録する時点で区別されなくなります。
送信元と直結
ポート ミラーリング機能やリピーター ハブを使用できない場合、送信元と DIAheart を直結する方法があります。
(もちろん、記録中は灯体での演出確認はできません)
![](cm_rec_sp.png)
「受信動作」が「すべて」の場合、DIAheart が受信するデータをすべて記録しますが、それ以前に DIAheart にデータが届く必要があります。
送信元と DIAheart を直結しただけでは、DIAheart にデータが届くとは限りません。
送信元がユニキャスト(特定の IP アドレス宛に送信)する場合、実際には送信先機器ごとに固有の「MAC アドレス」宛に送信します。
そのため送信元は、特定の IP アドレスに対応する「MAC アドレス」を取得する必要があります。
この対応付けは、機器同士が ARP(Address Resolution Protocol)を使用して行っています。
灯体が接続されていないと、灯体の「MAC アドレス」を取得できないので、送信元は演出データを送信できません。
ここで、DIAheart の「受信動作」を「ふり」にすると、DIAheart は他の機器の「ふり」をして、あらゆる IP アドレスに対して自身の「MAC アドレス」を対応させます。
(「なりすまし」(spoofing)と呼ばれています)
受信動作「ふり」使用時の注意
- DIAheart はあらゆる IP アドレスを自身の「MAC アドレス」に対応付けるだけです。
例えば、Art-Net 機器としての情報を返さないので、送信元の照明卓などは、灯体としての情報を収集できません。
これらの情報を送信先の割り当て(例えば、ユニバース対 IP アドレス)などに使用している場合、送信できない可能性があります。
手動での設定の可能性を検討して下さい。
- ルーター、DNS、DHCP サーバーなど、特定の機能機器の使用を想定している場合、それらの機能は利用できませんので、うまく動作しない可能性があります。
- 送信元では、IP アドレスと「MAC アドレス」の対応をある程度の時間保持します。
この時間は機器によりまちまちで、数十秒から数時間というものもあるようです。
(再起動されるまで保持するものもあるかもしれません)
このため、送信元と DIAheart を直結ではなく、スイッチングハブを介して接続した場合(灯体など他の機器は外す)は、演出作成から記録操作に移行してしばらくは、DIAheart にデータが送信されない可能性があります。
送信元の Ethernet ケーブルの抜き差しで、IP アドレスと「MAC アドレス」の対応を強制的に更新できる可能性があります。
- 送信元と DIAheart を直結する場合は、「フロー制御」は不要です。
- 同じユニバースを異なる送信先 IP アドレスで区別している場合、それらは DIAheart が記録する時点で区別されなくなります。
まとめ
- 照明卓などの送信元から Art-Net のブロードキャストもしくは sACN のマルチキャスト送信時
特殊な操作は不要で、「受信動作」は通常の「当機宛」で使用します。
- ユニキャストを使用する場合
特殊な操作が必要です。
- スイッチングハブのポートミラーリング機能もしくはリピーターハブを利用する場合、「受信動作」を「すべて」にします。
- 記録中だけ送信元と DIAheart を直結する場合、「受信動作」を「ふり」にします。